

1.東日本大震災、包装業界にも大きな影響を残す
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被害の全容はなお把握できず、
日本の経済活動に甚大な被害を与えている。さらに東電福島原子力発電所の
事故は、放射能の日本中への影響、終息する期間の長期化により、被害は
日本全体を巻き込む膨大なものとなった。
包装業界も、原材料の逼迫や計画停電により生産体制の変更、生産休止、
代替品の探索など対応に追われ、大きな影響を受けた。震災後、消費自粛や
物流の混乱などの影響で、生鮮食品や加工食品の購入量が減った一方で、
麺類、冷凍食品等の保存食やミネラルウオーター・飲料を購入する消費者が
増え、そのロングライフを維持するための機能性包材が伸張した。
2.欧州財務不安が拡大、ドル安・円高が止まらず
欧州財務不安の拡大によるユーロ安、米国の景気対策の足踏み、中国の物価
抑制狙いの金融引締めなどにより、世界景気の回復が減速する中でドル安・円高
が止まらない。少子化による長期的な国内市場の縮小に対応し、内需型の生活
関連企業も電機や自動車と同様に、海外への投資を優先しているため、拠点の
海外分散化や外国人社員の増員など、国内産業の構造転換に拍車がかかっている。
海外へシフトする企業が増加するに伴い、包装関連企業も対応を迫られることになる。
3.PETボトル入りワインが拡大
ガラスびん入りワインは持ち帰る際に重く、割れやすいとの声もあり、取り扱いの
改善と環境意識の高まりを受けて、バリア性付与PETボトルへの切り替えが広が
りをみせている。ガラスびんからPETボトルに切り替えた場合、750mlタイプで容器
重量が約1/8に削減、二酸化炭素の排出量も年間で約1,780t削減が見込まれている。
4.タイの洪水で日本企業の被害が拡大
タイ国に生産の場を設けている日本企業は多く、今回の洪水でバンコク市内も被害が
拡大、近郊の工業団地にある大手日本企業やその基幹産業を担う中小企業など
アジア・サプライチェーンを構築する企業全体に被害が拡大している。サプライチェーン
を再度構築するには、相当の時間と莫大な資金が必要になるとみられている。一方、
日本国内では生産に必要な部品や包装材料の供給ができず、減産体制で国内生産
を稼働するなど、日本の包装業界にも大きな影響を与えている。
5.植物由来バイオプラスチックの商品化
国内で初めて化粧品・日用品向けにサトウキビ由来のポリ容器が採用された。
有限な石油資源の節約とCO2排出量削減を目的に、サトウキビ由来のポリエチ
レン容器を採用したもので、使用割合はボトルで約96%、詰め替え用で約34%
である。また、全国農業協同組合連合会(JA全農)では果実・青果物出荷容器で、
植物由来プラスチック(ポリ乳酸)の導入を積極的に進めている。2010年度は
イチゴ用で前年度比470%の4500万パックを達成したが、2011年度は1億パック
に迫る勢いで拡大しており、ミニトマトなどの容器でも導入が活発化している。
6.世界の食品包装特許、日本企業が独占
世界的な情報サービス企業、トムソン・ロイターが4月に発表した「IPマーケット
リポート」によると、食品包装の特許の多くはB2B(企業間ビジネス)企業が保有
しているが、特許保有数のトップ5は、大日本印刷、凸版印刷、吉野工業所、
東洋製罐、フジシールで、日本企業が独占している。そのうち上位2社の大日本
印刷、凸版印刷の特許保有数は400件以上で3位以下を大きく引き離している。
7.PETボトルのメカニカルリサイクルシステム構築
市場で回収されたPETボトルを原料に、新たなPETボトルを再生した「リペット
スタイルボトル」を導入。超洗浄と呼ばれるアルカリ洗浄・高温&真空除染処理で、
従来の化学分解法による樹脂製造より、安価に製造できる利点がある。
PETボトルの「ボトルto ボトル」は、海外では実施されていたが、国内での大手
飲料メーカーの実施は影響が大きく、国内のボトル回収やPET樹脂の流れに
大きな影響を与える可能性がある。
8.酸素吸収樹脂でレトルト食品の賞味期限を約6倍に延長
新しい酸素吸収剤は、EVOHなど酸素遮断性が高い樹脂に酸素吸収剤を混ぜた
混合物。レトルトパウチの場合、約30分でパウチ内の酸素濃度が1%以下になる。
通常6~9ヵ月程度のレトルト食品の賞味期限を3~5年に延長することができる。
また鉄粉などを含まないため、電子レンジで直接温めることも可能である。
9.公益社団法人 日本包装技術協会のスタート
日本包装技術協会は、内閣府に対し公益社団法人への移行認定申請を行って
きたが、平成23年10月21日に移行認定を受け、11月1日に新法人設立の登記を
行った。これにより、平成23年11月1日より「公益社団法人日本包装技術協会」の
名称のもとに、包装業界において公益性が高く、信頼できる法人として新たに
スタートすることになった。
10.「暮らしの包装商品展2011 in 新宿」開催される
東日本大震災の影響も残る中、『暮らしの包装商品展2011 in 新宿(9/18~
20)』が 新宿駅西口広場イベントコーナーにおいて開催された。今回初めて、
会場を新宿駅西口広場イベントコーナーに設定し、各企業や団体の取組みを
多数の通行者にも紹介した。発見ゾーンには2011グッドパッケージング展や
包装の歴史の展示、スタンプラリー/包装アンケートが行われ、体験ゾーンでは
包装Q&Aトークショーやパッケージ再生利用工作教室、風呂敷教室などがあり、
駅前の通行者の足を止め、包装の重要性をアピールした。3日間で1万人以上の
来場者があり、盛況理に終了した。